現代語に訳すとかなりキザな内容です…
庭にかくるゝ小狐の
人なきときに夜いでゝ
秋の葡萄の樹の陰に
しのびてぬすむつゆのふさ
恋は狐にあらねども
君は葡萄にあらねども
人しれずこそ忍びいで
君をぬすめる吾心
イソップ物語の「狐と葡萄」の話を土台にしてますが、まったく別の恋愛の詩になってます。
イソップ物語の狐は腹を空かして葡萄をとろうと思ったら葡萄棚が高くて届かなかったので「ふん、
あんな葡萄、すっぱくて食えるか」と負け惜しみを言うのです。
藤村の詩では狐は「葡萄」(=恋愛)を掴むことに成功してます。イソップ物語の狐より
ずっとエレガントです。
「初恋」では林檎の実が恋の象徴でしたが、ここでは葡萄です。いずれも「秋の実」ということで、実り多い、豊穣なイメージです。
小雨が降っている中、神社の境内で野外録音です。病院が近くて、いつピーポーパーポーと救急車の音が入るかとドキドキします。
|島崎藤村 朗読|