庭にかくるゝ小狐の 人なきときに夜いでゝ 秋の葡萄の樹の陰に しのびてぬすむつゆのふさ
髪を洗へば紫の 小草(をぐさ)のまへに色みえて 足をあぐれば花鳥の われに随ふ風情(ふぜい)あり
波に生れて波に死ぬ 情の海のかもめどり 恋の激波(おおなみ)たちさわぎ 夢むすぶべきひまもなし
門にたち出でたゝ゛ひとり 人待ち顔のさみしさに ゆうべの空をながむれば 雲の宿りも捨てはてて 何かこひしき人の世に 流れて落つる星一つ
寺をのがれいでたる僧のうたひし そのうた